私という存在
2023-12-31
今日は令和5年の大晦日です。当たり前のことですが来年また一つ年を取ります。その繰り返しの果てに寿命が尽きて、私という存在がこの世から消え去ります。これも自明のことです。では死んだ先には何があるのでしょう。肉体は滅んでも魂は存在して来世に生まれ変わると言われますが、体験しなければ信じられないですね。ただ臨死体験者の話などから、ひょっとすると死後の世界があるかも知れないと思える程度で確たる証拠はありません。証拠もないのにあれこれ考えて想像をたくましくしても始まりません。私という意識は確かにありますが、それは他者を意識しなければ生まれない意識ですよね。物心がついて自分とは違う周りの存在を認知し、他者と自分を比べることで初めて自我が芽生える訳です。ちなみに仏教の根本思想は、「空」ということで「相資相依」とも言いますが、これは存在の原理を解き明かしています。他があって自がある、男があって女があり、天があるから地があるというように存在は常に相互に依存しており、他を否定すれば自分の存在も消える、自分を肯定すれば他の存在も肯定されなくてはならない。この世に独りだけで存在するものは何もない、というのが空という原理なのです。そこから理想的な人間の生き方が生まれてきます。「中道」という実践的な生き方です。偏りのない平等な生き方が求められますが、そう簡単ではありませんね。世の中の争いごとはすべて中道から外れた行いと言えます。ハマスとイスラエルの争いはまさにそれです。両者とも相手を完全否定しています。相互に肯定しなければ泥沼の争いは永久になくなりません。一神教は他の宗教の存在を認めませんので一神教同士の争いは永遠に続きます。日本のように八百万の神の存在を認めて共存共栄していくという生き方を取らなければ何時まで経っても平和は訪れません。利他があって自利があるという考え方を日本人は太古の昔からとってきました。現在世界で一番先進国として社会が進んでいる平和な国は日本であると世界中の人たちから認知され始めています。日本と日本人を見習え!と訪日外国人は自国と比較してそう言います。礼儀正しく清潔でルールを遵守し、親切で相手をリスペクトする日本人の姿勢は世界中の人から称賛されています。これは神道と仏教の教えが日本人の心に根付いているからです。日本人は意識せずに中道を実践しているということです。相手を立てる謙虚な生き方こそ世界中の人達に必要であると思いますね。貴方が在るから私が在るのです。それを自覚して生きる生き方が「中道」です。